研究紹介

蛋白質を用いたバイオマテリアルの合成と応用

 我々は生体内で多彩な機能をつかさどる “蛋白質” を機能階層的に結合・組織化することにより、これまでに類例のないバイオマテリアルをつくる研究に取り組んでいます。例えば(ヘモグロビン−アルブミン)クラスターは「人工血液」の開発に新しい突破口を開き、先端医療の分野で様々な応用が期待されています。また、望みの機能をプログラムした中空シリンダー構造の「蛋白質ナノチューブ」を合成することにも成功しました。新しい医薬品、ナノリアクターとしての展開が進んでいます。

人工酸素運搬体
人工ヘム蛋白質
蛋白質ナノチューブ


人工血液の開発

 ヘモグロビンの分子表面に血漿蛋白質であるヒト血清アルブミンを結合した新しい人工酸素運搬体(ヘモグロビン−アルブミン)クラスター(製剤名:HemoAct)を開発しました。現在、医学部・薬学部との共同チームで、その安全性と有効性を評価しています。

人工酵素の開発 

 遺伝子組換えアルブミンに金属(Fe、Zn、Mg、Mn)ポルフィリンやフラーレンを結合させた複合体が、酵素(ペルオキシダーゼ、SOD、カタラーゼ)のみならず、水素発生反応や癌治療に有効な光増感剤として作用することを明らかにしました。

蛋白質ナノ・マイクロチューブの開発

 多孔性ポリカーボネート膜を利用した鋳型内交互積層法により、蛋白質ナノチューブ、マイクロチューブを合成することに成功しました。チューブの内孔空間にはヒトB型肝炎ウイルス(HBV)や大腸菌が効率よく取り込まれます(捕捉率:100%)。

金属酸化物・金属ナノ粒子チューブの開発

 金属イオン貯蔵蛋白質であるフェリチンを用いてナノチューブを調製し、それを熱処理(500℃)すると、金属酸化物や金属ナノ粒子からなるナノチューブが得られることを見出しました。いずれも高い触媒活性を持つことが実証されています。

ポルフィリン超構造体の開発

 4つのピリジル基を有するポルフィリンがPd2+イオンを介してダイマーやファイバーを形成することを見出しました。いずれの超構造体も強く発光します。分子カプセルや分子ワイヤーとしてはもちろん、光触媒としての応用が期待されています。